日本の伝統工芸品・民芸品【お正月11選】

お正月には見たことない道具が使われるね

あれは一体何なんだろう?

お正月は、日本で最も重要な年中行事の1つであり、多くの伝統的な儀式や行事が行われます。そこで使われる伝統的な品々も、お正月に欠かせない重要な要素です。この記事では、11のお正月の伝統工芸や民芸品について紹介し、その歴史や背景について解説していきます。

スポンサーリンク

伝統工芸品と民芸品の違い

伝統工芸品と民芸品は、似たようなもののように思われがちですが、異なる特徴を持っています。

屠蘇器

伝統工芸品は、歴史的に由来する伝統的な技法や文化を用いて作られたもので、一定の基準を満たしたものは「伝統的工芸品」として、経済産業省の指定を受けています(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/index.html)。職人が伝統的な技法を継承し、製品を高品質で生産することが重要です。

一方、民芸品は、一般的な人々が日常生活で必要とする品物や、手作りの伝統的な工芸品を指します。伝統工芸品とは異なり、基準が厳密に決まっていないため、職人によって微妙に異なる場合があります。ただし、現代では民芸品も高品質な作品が増え、その技法や素材の選定が重要視されるようになっています。

お正月の伝統工芸品・民芸品

伝統工芸品でも民芸品でも、日本の長い歴史の中で形作られてきた、価値ある日本文化の結晶といえるでしょう。それでは、どんなものがあるか見ていきましょう。

屠蘇器(とそき)

屠蘇器は、漆塗りの一つであり、お正月に用いられる、日本酒を注ぐ器具です。屠蘇酒を注いで、新年を祝います。

伝統的工芸品として指定されているものとしては、例えば福島県の「会津塗」があります。

会津塗
室町時代、この地方で力のあった一族が、漆の木を植えることを奨励したのが始まりです。 安土桃山時代に、近江の武将が会津を支配することになり、近江の漆器職人を呼び寄せ、その技法を会津に広め、漆を使った工芸の養成と技術の進歩を図ったため、会津の漆...

酒口(さかぐち)

酒口は、お正月に用いられる、日本酒を注ぐための口です。日本酒を注ぐときに、酒口を使用すると、華やかな雰囲気が演出されます。

PR

重箱(じゅうばこ)

重箱は、お正月に用いられる、おせち料理を入れる箱です。三段重や四段重など、段数が多いものが一般的で、おめでたい行事の雰囲気を盛り上げます。

伝統的工芸品として指定されているものとしては、例えば、長野県の「木曽漆器」が挙げられます。

木曽漆器
始まりは17世紀の初頭です。もともと豊富な木曽のヒノキを使った木地作りが盛んな土地柄で、江戸時代に尾張徳川藩の手厚い庇護を受けて発達しました。 木曽の漆器は中山道を通る旅人の土産物として人気がありました。 明治時代初期に地元で下地作りに欠か...

達磨(だるま)

だるまは、お正月に願い事を込めて飾られるおもちゃです。赤い色と丸い形が特徴的で、一度倒されると、また起き上がらせることができることから、『七転八起』の意味を持ちます。

PR

押絵羽子板(おしえはごいた)

押絵羽子板は、お正月に用いられる、羽子板の一種です。絵を描いた和紙を木製の板に貼り付けたもので、色鮮やかな絵柄が特徴的です。

押絵羽子板は、東京都の「江戸押絵」が、伝統的工芸品として指定されています。

江戸押絵
江戸時代より「歳の市」が行われる浅草周辺で多く生産されてきた江戸押絵は、関東大震災や戦災による疎開などのため、現在は生産者が近県にもいます。かつては江戸三座といわれる芝居小屋が浅草にあり、歌舞伎の着物、装束、風俗などを題材に、日本画の画法も...

破魔弓(はまゆみ)

破魔弓は、お正月に用いられる、邪気を祓うための道具です。特に男の子の初正月の際に「わが子を邪気から守ってくれますように」という願いを込めて飾られることが多い、お祝いの品でもあります。

PR

茶碗(初釜)

初釜(はつがま)は、お正月に、家族や友人と共に、初めてお茶を飲むことを意味します。茶碗や茶入れは、お正月らしい華やかなものが使用されます。

初釜にも使用される茶碗の中で、伝統的工芸品に指定されているものとしては、例えば滋賀県の信楽焼(しがらきやき)があります。

信楽焼
天平時代に聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)を造るにあたって、瓦を焼いたのが始まりといわれ、日本六古窯の1つに数えられています。 鎌倉時代には水がめや種壷が作られ、室町・安土桃山時代には茶道具の生産が盛んとなり、多くの名品が生まれました。...

宝船(たからぶね)【わら細工】

宝船は、日本の伝統工芸品であり、主にお正月に飾ることが一般的です。わら細工で作られており、豪華な装飾品として知られています。宝船は、豊かな漁獲と安全な航海を願うために作られ、日本の海洋信仰に深く根付いています。

水引き

水引きは、和紙や絹などの紐に結び目を付けた、日本の伝統的な装飾品です。お正月には、縁起物として、お年玉袋やお祝いの贈り物に水引きが付けられます。

つるし飾り

つるし飾りとは、正月に玄関先や門松などに吊るされる飾り物のことを指します。代表的な素材は、ちりめんや絹などの生地を使用して作られます。昔から伝わる伝統的なデザインとしては、鶴や亀、松竹梅などがあり、それぞれに意味が込められています。

PR

晴れ着

晴れ着は、着物の一種であり、お正月には欠かせない衣装のひとつとしても知られています。晴れ着は結婚式や成人式、その他の特別な行事に着用することが多いですが、お正月にも着用されます。正月に晴れ着を着ることは、新しい年に入った節目を祝い、神仏に感謝しながら、幸運を呼び込むためです。

晴れ着としての振袖などは、伝統的工芸品でもあり、例えば、石川県の加賀友禅などが、その一つとして知られます。

加賀友禅
加賀友禅の始まりは、加賀独特の染め技法である「梅染(うめぞめ)」まで遡ります。「梅染」は15世紀の中頃には、すでに存在していたことが文献に記されています。 梅染のほか「兼房染(けんぼうぞめ)」、「色絵紋」等の染色技法が古くから加賀に伝えられ...

お正月の伝統工芸品・民芸品の未来

お正月の伝統工芸品や民芸品は、現代でも大切にされています。伝統的な工芸品は、地域の文化や歴史を伝える大切な役割を持っています。しかし、現代のライフスタイルや価値観の変化により、需要が減少している工芸品もあります。そこで、伝統工芸品を現代風にアレンジする試みも進んでいます。例えば、押絵羽子板には、アニメキャラクターや漫画のキャラクターを描いたものもあります。

さらに、伝統工芸品を身近に感じることができるイベントも開催されています。全国各地で、伝統工芸品を扱うイベントが開催され、多くの人が訪れています。こうしたイベントを通じて、伝統工芸品の魅力を再認識し、価値を再評価する人も増えています。

まとめ

お正月には、様々な伝統工芸品が存在します。屠蘇器や酒口、重箱、だるま、押絵羽子板、破魔弓、茶碗、つるし飾り、宝船、水引き、晴れ着など、多種多様な工芸品があります。これらの工芸品は、地域の特色や文化を表現するものであり、大切な役割を持っています。また、現代においても、伝統工芸品はアレンジされたり、イベントを通じて再評価されたりしています

こちらもご覧ください

更新履歴
  • 2023年04月29日 一部修正
  • 2023年04月14日 初公開
QUOカード当たります

コメント