お正月とは、近代的には、1月のある一定期間のことを指して使われる言葉ですが、日本全域を細目的に見ると、(特に農家で使われてきた)一斉休暇全般のことを指すものとして考えられます。これは、我々日本正月協会の公式見解です。
その根拠となるのは、全国各地の郷土資料の中で、「〇〇正月」という一斉休暇を意味する言葉が散見されていることが挙げられます。

色々なお正月の例
例えば、郷土資料「座間の語り伝え 年中行事編」によれば、1月の正月(大正月、小正月)以外にも、以下のような「〇〇正月」の伝承が見られます。
- 5月6日~8日 苗ふり正月
- 5月の節句の頃 摘み田正月
- 7月15日前後 植え田正月
こうした「〇〇正月」の事例は、これ以外にも様々に存在しており、現在、日本正月協会においては、1月~9月頃まで「〇〇正月」が存在していることを確認しています。
日本正月協会の正月やその文化の多様性に対する立場
このように、近代的には、お正月は、日本の新年祝いを表す言葉ですが、1,000年以上の歴史を持ち、日本ならではの発展を遂げた、食・行事・遊び・芸術などのパッケージとなった文化です。その魅力は海外に十分に知られておらず、また、近代化によって文化に対する意識も薄らいでいることから、その啓発と後世への継承を目的とし、日本正月協会は組織されました。
インターネットやメディア上では、様々な情報が飛び交っていますが、前述のように、日本のお正月は地域ごとに多様性に富んだ文化を持っており、「正月とは1月のある一定期間である」や「正月とは日本の新年祝いである」といったようなある一つの解釈が、必ずしも正しいとは限りません。
ある一つの答えにスポットを当て、それがさも普遍的かつ全体的であるかのように語り伝えることは、少数派文化を切り捨て、文化の均質化と消滅を招く、大変危険な思想の流布だと考えております。
日本正月協会は、文化の多様性を尊重し、保護し、次世代に継承していく社会こそ、そのあるべき姿だと考えており、インターネットやその他のメディアのように、「ある一つの答えが正しい」とするような思想の流布を歓迎しておりません。