この記事では、島根県に伝わる多彩な正月行事を紹介しています。地域ごとの特色ある伝統行事や、次世代への継承活動について詳しく解説しています。

島根県にはどのような正月行事があるの?
「地域ごとの正月行事の特色や違いは?」「伝統行事はどのように次世代へ継承されているの?」このような疑問にお答えする記事となっています。
このコンテンツは、以下のような方々を対象としています:
- 日本の伝統文化や地域行事に興味のある方
- 島根県の正月行事について学びたい教育関係者
- 地域の伝統行事を次世代に伝えたいと考えている地域活動者
これらの方々が、島根県の多様な正月行事やその継承方法について理解を深めることができます。

鳥取のお正月ってどんな感じ?
お正月は、新しい年をみんなでお祝いする、日本中がワクワクする特別な日です。鳥取県でも、家族が集まって、おいしいものを食べたり、神社にお参りに行ったり、楽しい遊びをしたりします。しかし、鳥取のお正月には、他の場所ではあまり見られない、少し変わった、そして心温まる風習がたくさんあります。
お正月には、「かがみ餅」を供えたり、「門松」を立てたりして、特別な準備をするのが習わしです 1。
鳥取のお正月は、地域独自の食文化や行事が色濃く反映されています。甘くてユニークな食べ物、力強いお祭り、そしてちょっと変わったお飾りなど、鳥取の地理的な特徴や歴史が深く結びついて形成された、多様な文化のあり方を見ることができます。この報告では、鳥取ならではのお正月を、食べ物、行事、飾り、遊びの4つのテーマで詳しくご紹介します。鳥取の不思議で楽しいお正月の世界を、一緒にのぞいてみましょう。
鳥取ならではの「甘~い」お正月料理
びっくり!小豆雑煮ってどんな味?
お正月といえば、お餅が入ったお雑煮を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、鳥取県のお雑煮は、他の地域とは少し違います。なんと、甘く煮た小豆のお汁の中に、やわらかい丸いお餅が入っているのです 2。見た目はまるで「ぜんざい」のようですが、鳥取ではこれを「お雑煮」としておせち料理と一緒に食べるのが特徴です。地元の人たちは、おせちのしょっぱい味と、この甘いお雑煮の組み合わせが「絶妙に合う」と口を揃えて言います 4。
この小豆雑煮は、鳥取県全体で食べられているわけではありません。特に海岸部で主流とされていますが、山間部ではしょうゆ味や味噌味のお雑煮を食べる地域も多く見られます 3。また、県中部の三朝町(みささちょう)では、珍しい「とち餅」がお雑煮に使われることもあります 3。このような県内での地域差は、それぞれの地域の地理的条件や、そこで手に入る食材が食文化に影響を与えてきたことを示しています。
小豆の赤い色には、昔から悪いもの(邪気)を追い払う力があると信じられてきました。そのため、小豆は、おめでたい「ハレの日」の食べ物として大切にされてきたのです。新しい年を健康で幸せに過ごせるようにという願いを込めて、お正月に小豆雑煮を食べる習慣が根付いたと考えられています 4。鳥取で小豆雑煮が食べられるようになったのは、江戸時代後期にはすでに記録があるほど古い歴史があります 4。これは、この食文化が長い時間をかけて、家庭の中で代々受け継がれてきたことを物語っています。
お隣の島根県の一部でも小豆雑煮が食べられており、特に島根県の出雲大社(いずもたいしゃ)でふるまわれた「神在餅(じんざいもち)」がぜんざいの始まりと言われていることから、その影響が鳥取の小豆雑煮の習慣にも及んでいる可能性が指摘されています 4。このように、鳥取の小豆雑煮は、単なる郷土料理というだけでなく、地域間の文化交流や歴史的背景、そして地理的要因が複雑に絡み合って形成された、生きた文化財と言えるでしょう。
子どもたちには、お雑煮を食べる「祝い箸(いわいばし)」の豆知識を伝えるのも良いでしょう。祝い箸は、神様と人が一緒に食事をする「神人共食(しんじんきょうしょく)」という大切な意味が込められており、神様と人が一緒に使うように両端が細くなっているのです 8。
後醍醐天皇も食べた!?江府町の「団子汁」
鳥取県江府町(こうふちょう)の御机(みつくえ)集落には、お正月三が日にお餅を食べないという、全国でも珍しい風習があります 9。その代わりに食べられているのが「団子汁」です。この団子は、お米の粉を水で溶き、人肌の柔らかさになるまでこねて丸めたものを茹でて作られます。江府町産の美味しいお米で作られた団子に、同じく江府町産のお味噌と白いネギが使われており、地元の恵みがたっぷり詰まった一品です 9。
この珍しい風習には、なんと歴史上の偉大な人物が関わっています。昔、後醍醐天皇(ごだいごてんのう)が京へ帰る途中にこの御机集落に立ち寄った際、おもてなしとしてこの米粉の団子汁が振る舞われたという言い伝えがあるのです 9。そのため、御机集落の人たちにとって、団子汁は単なるお正月料理ではなく、天皇様も食べたという特別な、歴史あるごちそうとして大切に受け継がれています。
この団子汁の風習は、単なる食文化の地域差に留まらず、後醍醐天皇という歴史上の人物との結びつきを通じて、その地域のアイデンティティと誇りを形成しています。これは、食が単なる栄養摂取だけでなく、共同体の物語や歴史を次世代に伝え、地域活性化の核となり得る文化的な「語り部」としての役割を果たすことを示唆しています。子どもたちには「天皇様も食べた団子!」というエピソードを通じて、歴史を身近に感じてもらい、地域の文化への興味を深めるきっかけとなるでしょう。
他にもあるよ!鳥取のお正月ごはん
鳥取県には、お正月や特別な日に食べられる美味しい郷土料理が他にもたくさんあります。
- いぎす:「えごのり」とも呼ばれる海藻のいぎす草を使った料理で、鳥取県の中部地方を中心に伝わっています 10。お正月や法事、お祭りなど、特別な日に振る舞われることが多い精進料理(しょうじんりょうり)です。酢味噌や辛子醤油、生姜醤油でさっぱりといただきます。鳥取県ではスーパーマーケットなどでも手に入る食材です 10。
- カズノコの大根おろし和え:おせち料理の具材として、鳥取県ではカズノコを大根おろしと和えて食べるのが特徴です 11。カズノコは卵がたくさんあることから、「子孫繁栄」の願いが込められた縁起の良い食べ物とされています 12。
- するめいか糀漬(こうじづけ):スルメイカの天日干しを調味料と糀(こうじ)で混ぜ合わせた、いたってシンプルな郷土料理です 3。山陰地方の山間部で、雪に閉ざされた真冬の保存食として生まれた生活の知恵から生まれたと言われています。お酒のおつまみにも、ご飯の付け合わせにもよく合います 13。
- どんどろけ飯:地元産の野菜や豆腐などを入れた炊き込みご飯で、鳥取県の東部・中部地方に伝わる郷土料理です 3。この「どんどろけ」は方言で「雷」のことを指し、豆腐を油で炒めるときのバリバリという音が雷に似ていることから、この名前がついたとされています 10。
- いただき:大きな油揚げの中に生のお米や野菜を詰めて、だし汁でじっくりと炊き上げた、鳥取県西部地方や弓ヶ浜半島に伝わる田舎料理です 3。見た目はいなりずしに似ていますが、調理法が異なります。かつては漁師や農家の人々がお弁当に持って行ったと言われています 10。
- 大山おこわ:大山(だいせん)山麓の食材を使用したしょうゆ味のおこわで、県西部地区の郷土料理です 3。使用する食材は家庭により様々ですが、山菜や野菜、鶏肉、所によっては竹輪を入れる地域もあります。昔、僧兵(そうへい)が戦に行く時に戦勝を祈願して山鳥と山草を入れた米飯を炊き出したのが始まりと言われ、その後祭りや祝い事のごちそうとして受け継がれてきました 13。
鳥取のお正月料理は、小豆雑煮だけでなく、「いぎす」のような精進料理、海産物(するめいか糀漬)、そして地域特産品(大山おこわ)を取り入れた多様なラインナップを持っています。これは、鳥取の地理的特徴(海と山)が食文化に深く影響を与え、保存食としての知恵や、地域の歴史的背景(僧兵、牛馬市)が食の伝統に組み込まれていることを示しています。このように、食は単なる栄養摂取だけでなく、地域の環境、歴史、そして人々の知恵を映し出す鏡のような存在です。
鳥取のユニークなお正月料理
| 料理名 | 特徴 | 主な地域 | 豆知識/由来 |
| 小豆雑煮 | 甘い小豆の煮汁に丸餅が入る。おせちの塩味と相性抜群。 | 県全体(特に海岸部) | 小豆の赤色に邪気を払う力があると信じられ、お祝いの日に食べられる。 |
| 団子汁 | 正月三が日にお餅の代わりに食べる米粉の団子汁。 | 江府町御机集落 | 昔、後醍醐天皇がおもてなしとして食べたという言い伝えがある。 |
| いぎす | 海藻のいぎす草を使った精進料理。酢味噌などでいただく。 | 中部地方 | お正月や冠婚葬祭など、特別な日に振る舞われる。 |
| カズノコの大根おろし和え | おせち料理の具材。カズノコを大根おろしと和える。 | 県全体 | 卵がたくさんあることから「子孫繁栄」の願いが込められている。 |
| するめいか糀漬 | スルメイカを糀で混ぜたシンプルな保存食。 | 山間部 | 雪に閉ざされる冬の保存食として、生活の知恵から生まれた。 |
| どんどろけ飯 | 油で炒めた豆腐や野菜が入った炊き込みご飯。 | 東部・中部地方 | 豆腐を炒める音が「雷(どんどろけ)」に似ていることから名付けられた。 |
| いただき | 油揚げに生米や野菜を詰めて煮込んだ田舎料理。 | 西部地方・弓ヶ浜半島 | 昔、漁師や農家がお弁当に持っていったと言われる。 |
| 大山おこわ | 山菜や野菜、鶏肉などが入ったしょうゆ味のおこわ。 | 西部地区(大山山麓) | 昔、僧兵が戦勝祈願に食べたのが始まりと言われている。 |
ワクワク!鳥取のお正月行事と風習
裸の男の子たちが走る!「酒津のトンドウ」
鳥取市気高町(けたかちょう)酒津(さかづ)では、お正月が終わる頃の小正月(こしょうがつ)に「酒津のトンドウ」という、とっても勇ましい火祭りが行われます 16。毎年1月中旬に開催されるこの行事は、海で体を清めた裸の男の子たちが、大きな「トンドウ」と呼ばれる松や竹で作られた円錐形の塔(高さ4メートル以上!)と一緒に集落の家々を清めて回ることから始まります 17。
そして次の日の朝早く、そのトンドウを燃やして、一年の無病息災(病気にならないこと)や豊漁(魚がたくさん捕れること)を神様にお願いするのです 17。このお祭りは、2007年に国の「重要無形民俗文化財」にも指定されており、鳥取市気高町酒津漁港で行われる、地域にとって非常に大切な伝統行事です 17。
「酒津のトンドウ」は、単なる火祭りではなく、裸の男子による清め、火を用いた邪気払いと祈願という要素から、共同体の健康と繁栄を願う強い共同体意識と、その伝統を次世代に継承する重要性を示しています。また、鳥取県内でも「トンド」と呼ばれる同様の行事には地域差があり、例えば西部(伯耆地方)の「トンド」は、竹を十字に組み、扇や鯛の飾りをつけた特徴があります 18。これは、同じような行事でも地域ごとに異なる発展を遂げたことを示唆しており、鳥取の文化の多様性を物語っています。
「初詣」スポット
新しい年になったら、神様にご挨拶に行く「初詣(はつもうで)」は、日本中どこでも大切な行事です 1。鳥取県にも、たくさんの素敵な神社があり、それぞれにユニークなご利益や伝説があります。
- 宇倍神社(うべじんじゃ):鳥取市にある「宇倍神社」は、因幡国(いなばのくに)で一番格式が高いと言われる神社です。平安時代には「一宮」として最上位に位置づけられ、地域の人々から厚い信仰を集めてきました。健康や長寿、そして勝負運にご利益があると言われています 19。
- 多鯰ヶ池弁天宮(たなみがいけべんてんぐう):鳥取砂丘の近くにあるこの神社は、芸能や水源の神様である弁財天(べんざいてん)を祀っています。ヘビの神様としても知られ、巳年(へびどし)の初詣におすすめのスポットです 19。
- 白兎神社(はくとじんじゃ):「古事記」や「日本書紀」にも登場する「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」の伝説で有名な神社です。全身の毛をむしられた白兎を大国主命(おおくにぬしのみこと)が手当てしたという神話から、医療の始まりに関わる神社とされ、健康や長寿、そして大国主命と八上姫(やかみひめ)の縁を取り持ったことから縁結びのご利益があると言われています 19。
- 茂宇気神社(もうけじんじゃ):鳥取市鹿野町にあるこの神社は、社殿までの石段が264段と急ですが、苦労して参拝することで真剣にお祈りができるとされ、今年こそ良い一年にしたいと願う人におすすめです 19。
- 鳥取東照宮(とっとりとうしょうぐう):徳川家康(とくがわいえやす)を神様として祀っている神社で、以前は「樗谿神社(おうちだにじんじゃ)」と呼ばれていました。勝負運、健康運、商売繁盛、そして受験シーズンには合格祈願にもぴったりとされています 19。
鳥取県の初詣スポットは、地域固有の伝説、産業、さらにはユニークなテーマ(例えば境港市の「妖怪神社」や日野町の「金持神社」、日南町の「樂樂福神社」など 20)と結びついています。これは、信仰が地域の歴史や文化、人々の願いと密接に結びつき、多様な形で表現されていることを示しています。
鳥取の人気初詣スポット
| 神社名 | 場所(市町村) | 主なご利益/伝説 |
| 宇倍神社 | 鳥取市 | 健康、長寿、勝負運。因幡国一宮で最も格式が高い。 |
| 多鯰ヶ池弁天宮 | 鳥取市 | 芸能、水源、ヘビの神様。巳年の初詣におすすめ。 |
| 白兎神社 | 鳥取市 | 医療、縁結び、運気上昇。因幡の白兎伝説で有名。 |
| 茂宇気神社 | 鳥取市 | 真剣な祈願(急な石段を登ることで)。良い一年にしたい人に。 |
| 鳥取東照宮 | 鳥取市 | 勝負運、健康運、商売繁盛、合格祈願。徳川家康を祀る。 |
| 妖怪神社 | 境港市 | 妖怪たちのパワースポット。水木しげるゆかりの地。 |
| 金持神社 | 日野町 | 金運、商売繁盛。縁起の良い名前で有名。 |
| 樂樂福神社 | 日南町 | 福を呼び込む。縁起の良い名前で有名。 |
鳥取で見られるユニークな風習
鳥取には、お正月だけでなく、冬の間に見られるユニークな行事もたくさんあります。
- 長谷の牛玉授け・長谷の観音市(はせのごおうさずけ・はせのかんのんいち):倉吉市(くらよしし)にある天台宗の古刹、長谷寺(はせでら)で行われる冬の年中行事です 16。
- 三朝の玉串祭り(たまぐしまつり):三朝温泉(みささおんせん)にある三朝神社では、お正月になると、長さ約10メートルもある大きな玉串(たまぐし)を男性たちが背負って神社まで運ぶ行事があります 1。これは、一年の豊作や病気にならないことを願うとともに、青年たちの力を示す意味も持っています 1。
- 新年の海神祭(かいじんさい):鳥取県には、新年の海神祭という伝統行事もあって、地元の人たちが海に向かって祈りを捧げる姿が見られます 1。
鳥取の正月・冬の行事は、火祭り(酒津のトンドウ)だけでなく、神社での力強い祈願や、海への感謝など、多様な形態を持っています。これは、地域の自然環境(山、海)と、それに対する人々の畏敬の念や感謝の気持ちが、具体的な行事として表現されていることを示唆しています。これらの伝統は、地域の人々が自然と共に生き、共同体として力を合わせ、新しい年の繁栄と安全を願う姿を映し出しています。
鳥取の注目お正月行事と風習
| 行事名 | 時期 | 場所 | 内容 | 豆知識/由来 |
| 酒津のトンドウ | 毎年1月中旬(小正月) | 鳥取市気高町酒津漁港 | 裸の男の子たちがトンドウを清め、燃やして無病息災や豊漁を祈願する火祭り。 | 国の重要無形民俗文化財に指定されている。 |
| 長谷の牛玉授け・長谷の観音市 | 冬の年中行事 | 倉吉市長谷寺 | 天台宗の古刹で行われる伝統行事。 | 詳細は少ないが、冬の風物詩として地域に根付いている。 |
| 三朝の玉串祭り | お正月 | 三朝温泉三朝神社 | 男性たちが長さ約10mの大きな玉串を背負い、豊作や無病息災を祈願。 | 青年たちの力を示す意味も持つ、力強い行事。 |
| 新年の海神祭 | 新年 | 鳥取県沿岸部 | 地元の人々が海に向かって祈りを捧げる。 | 海の恵みに感謝し、安全と豊漁を願う。 |
お正月を彩る鳥取の飾りたち
門松・しめ縄・鏡餅
お正月には、特別な飾りつけをします。玄関に飾る「門松(かどまつ)」は、厄や邪気を払う意味も持っています。松、竹、梅が使われます 1。
そして、「しめ縄」や「しめ飾り」は、新わらで作られた厄払いの飾りで、ここから先は神聖な場所だよ、という結界の役割があります。これにより、悪いものを寄せ付けないのです 1。
お家の中に飾る「鏡餅(かがみもち)」は、大小2つの丸いお餅を重ねて、その上に橙(だいだい)などを飾ります 1。鏡餅の丸い形は、昔の鏡に似ているから「鏡餅」と呼ばれ、お米の一粒一粒には神様が宿っているという言い伝えもあります 24。
これらの飾りには、それぞれ素敵な願いが込められています。鏡餅の上に飾る橙(だいだい)は「家が代々栄えますように」、お餅の下に敷かれる裏白(うらじろ)という葉は「清らかな心」や「夫婦円満」、そして四方紅(しほうべに)や紙垂(しで)は「邪悪なものを追い払う」といった意味があります 25。
これらの飾りは「松の内(まつのうち)」という期間に飾られます。鳥取県では1月7日まで飾るのが習わしです 23。片付ける時は、「どんと焼き」という火祭りで燃やしてお清めするのが基本です 23。
お正月飾りは、単なる装飾ではなく、邪気を払い、家族の繁栄を願うという深い信仰と象徴的な意味が込められています。特に、鏡餅の「神が宿る依代」としての役割や、各飾りの細部に込められた縁起の良い意味は、日本人の自然観や家族観を反映しています。飾りの片付け方までが、一連の神事として捉えられているのです。
「めがね型」しめ縄のひみつ
鳥取県では、ちょっと面白い形をした「しめ縄」を見つけることができるかもしれません。それは、なんと「めがね型」のしめ縄です!2つの輪が繋がった形をしていて、「先を見通す」という意味が込められているのです 32。
この「めがね型」しめ縄は、岡山県から鳥取県にかけての地域で見られることが多く、地域によって輪の太さや丸さが少しずつ違うのも面白い点です 32。岡山から鳥取へ移動するにつれて、その形が変化していく様子は、伝統が単一ではなく、人々の手によって受け継がれる中で創造的に再解釈され、多様化していくプロセスを示しています。
このユニークな「めがね型」しめ縄は、鳥取を含む中国地方の一部に見られる地域特有の形態であり、その「先を見通す」という象徴的な意味は、新年の願いを具体的に形にしたものとして深い文化的背景を持っています。これは、伝統が単一ではなく、人々の手によって受け継がれる中で創造的に再解釈され、多様化していくことを示唆しています。子どもたちには、この「めがね型」しめ縄が、鳥取の「隠れたひみつ」として、特別な意味を持つことを伝えることができるでしょう。
初正月の縁起物
赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月を「初正月(はつしょうがつ)」と呼んで、特別にお祝いする習わしがあります。この時には、魔除けや厄払いの縁起物として、男の子には「破魔弓(はまゆみ)」、女の子には「羽子板(はごいた)」を贈ります 34。
羽子板の羽根はトンボに似ていることから、蚊に刺されず病気にかからないと言われたり、羽根の黒い玉は「無患子(むくろじ)」という木の実で「子どもが患わない」という意味があったりして、邪気をはねのけるお守りとされています 34。破魔弓の「はま」は、弓矢で射る的を指し、後に「魔を破る」と解釈され、邪気を払って男の子が元気に育つようにと願いを込めて飾られます 34。
これらの飾りは、初正月に限らず毎年飾り、ひな人形や五月人形の脇飾りとして飾るのも良いとされています 34。赤ちゃんの健康を願って実家の祖父母が贈ることが多いのですが、無理な場合は、その子の記念になるものを用意して一緒に飾ってあげることもあります 34。
「初正月」の飾りは、単なるお祝いの品ではなく、子どもの健康と成長を願う親からの深い愛情と、古来からの魔除け・厄払いの信仰が形になったものです。これらの飾りが毎年飾られることや、一人一人に用意するという習わしは、家族の絆と子孫繁栄への強い願いを象徴しています。
子どもも楽しい!鳥取のお正月遊び
昔ながらの遊びに挑戦!
お正月には、家族や親戚が集まって、昔ながらの遊びを楽しむのもいいでしょう。日本全国で親しまれているお正月遊びには、凧あげ、羽根つき、福笑い、コマ回し、けん玉、すごろく、百人一首、かるたなどがあります 35。
鳥取市には、童謡やおもちゃをテーマにした「わらべ館」という楽しい体験型ミュージアムがあります。ここでは、コマ回しやけん玉など、懐かしいおもちゃで実際に遊ぶことができます 37。わらべ館には、鳥取の郷土玩具(きりん獅子、鳥取張り子、流しびな、木彫り十二支、干支の土鈴など)も展示されていて、地域の昔話や風俗をモチーフにしたものが多いのです 39。
鳥取の郷土玩具には、剣道の掛け声「やっとう」から転化したと言われる「やっちゃ」という40cmほどの木刀もあります。これは端午の節句に男の子に贈られ、疱瘡(ほうそう)除けの願いも込められた郷土玩具です 39。
これらの昔ながらの遊びには、それぞれ縁起の良い意味が込められています。羽根つきは厄払いと子どもの成長を願う意味が、コマ回しは物事が円滑に回る縁起物として、福笑いは「笑う門には福来る」という願いが込められているのです 35。遊びは単なる娯楽ではなく、地域の物語や方言、願いを次世代に伝える重要な文化伝承の手段となっているのです。
家族で楽しめるお正月イベント
お正月には、家族みんなで出かけられる楽しいイベントもたくさん企画されています。
- 新年明けまして米子城!:国指定史跡『米子城跡(よなごじょうあと)』の天守台(てんしゅだい)から初日の出を望む、毎年恒例のイベントです。米子城どら焼きや登城記念証の配布、米子城武者隊による演武も披露されます 40。
- 燕趙園(えんちょうえん)のお正月:日本最大の中国庭園である「燕趙園」では、お正月に合わせて、逢鷲太鼓(ほうしゅうだいこ)公演やパフォーマンスショー、しゃんしゃん傘踊り、ワークショップなど、様々なイベントが開催されます 40。
- 正月遊び&多目的ホール無料開放&書き初めコーナー:境港市(さかいみなとし)の夢みなとタワーでは、羽子板、けん玉、コマなどの正月遊びが無料で楽しめるほか、書き初めコーナーも設けられます 40。
- イルミネーションイベント:倉吉交流プラザ、あやめ池、米子市公会堂、とっとり花回廊など、県内各地で幻想的なイルミネーションが開催され、冬の夜を彩ります 40。
鳥取のお正月イベントは、伝統的な初日の出鑑賞から、文化交流(燕趙園)、そして現代的なイルミネーションまで、幅広い世代が楽しめるように多様化しています。これは、伝統を継承しつつも、現代のニーズに合わせて新しい魅力を創出し、地域全体で新年の祝祭感を盛り上げようとする取り組みを示しています。
鳥取の温かいお正月を体験しよう!
鳥取県のお正月は、甘い小豆雑煮や後醍醐天皇ゆかりの団子汁といった「食」の楽しみ、裸の男の子が走る「酒津のトンドウ」のような勇壮な行事、そして「めがね型」しめ縄のようなユニークな飾りに彩られています。
これらの風習は、鳥取の豊かな自然や歴史、そして人々が大切にしてきた願いが込められています。鳥取のお正月は、一見すると全国的な「お正月」の枠組みに収まるように見えますが、その実態は、地理的条件(海と山)、歴史的出来事(後醍醐天皇の逸話や僧兵の物語)、そして地域住民の生活と信仰が深く融合した、非常にユニークで多様な文化の集合体です。特に「甘い雑煮」や「団子汁」のような食文化の独自性は、地域アイデンティティの強力な象徴であり、地域の魅力を伝える上で最も魅力的な要素となるでしょう。
鳥取の温かいお正月をぜひ体験し、この素敵な物語を歌にして、多くの人々に伝えてみてください。
鳥取のお正月、ちょっと面白い読み方する地名や行事名
| 表記 | 読み方 | 補足 | 参考 |
| 江府町御机 | こうふちょうみつくえ | 鳥取県西部の町と集落の名前 | 鳥取県日野郡江府町御机 – 住所を探す |
| 多鯰ヶ池 | たねがいけ | 初詣スポットの一つ、弁天様が祀られる池 | 【2025】巳年 1年中楽しめる多鯰ヶ池 |
| 酒津のトンドウ | さかづのトンドウ | 国の重要無形民俗文化財の火祭り行事 | 酒津のトンドウ – 鳥取市観光サイト |
| 茂宇気神社 | もうけじんじゃ | 鳥取市にある初詣スポット | 【最新版】鳥取の初詣スポット2024~2025!定番から穴場まで! – まいぷれ[鳥取市] |
| 宇倍神社 | うべじんじゃ | 鳥取県で最も古い神社の一つ | 【2025】 迎春 鳥取市の初詣スポット |
| 大山 | だいせん | 鳥取県を代表する雄大な山 | 鳥取県の郷土料理|グルメ・イベント|三朝温泉 |
| いぎす | いぎす | 海藻を使った鳥取の郷土料理 | 【鳥取県】郷土料理・ご当地グルメ – 旅飯ネット |
| どんどろけ飯 | どんどろけめし | 豆腐を炒めた炊き込みご飯、雷の音に由来 | 【鳥取県】郷土料理・ご当地グルメ – 旅飯ネット |
鳥取県のお正月 情報源一覧
お正月全般・雑煮・伝統行事
- 江府町 | 歴史・文化財
- うちの郷土料理:小豆雑煮 鳥取県 – 農林水産省
- お正月特集 伝統的なお正月を過ごそう – 公益財団法人鳥取県観光連盟
- 酒津のトンドウ – 鳥取市観光サイト
- 酒津のトンドウ – 文化遺産オンライン
- 三朝の玉串祭 – 鳥取県観光連盟
初詣スポット
お正月料理・郷土料理
- 日本のおせち料理:中国 – 日本の食文化と郷土料理を伝える 「うちの郷土料理」
- 【鳥取県】郷土料理・ご当地グルメ – 旅飯ネット
- 鳥取県の郷土料理|グルメ・イベント|鳥取の宿・旅館なら三朝温泉 | 三朝温泉
- 【鳥取県】湯かむり – 農林水産省
お正月飾り・習わし
- 人形のはなふさ 人形の知識 > 破魔弓・羽子板
- ドライフラワー・スワッグ専門店|花七曜 花屋の豆知識・花材紹介 > しめ縄
- Vol.38 | 「しまねのしめ飾り」 – しまね文化振興財団
- 郷土玩具 – 鳥取県
更新履歴
- 2025/06/02 読み仮名表を追加
- 2025/05/28 初稿公開






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