日本正月協会 協会長の年始挨拶を下記に掲載いたします。主なテーマは「有機・無農薬栽培を応援」、「生成AI活用」、「国産SNS後日談」です。協会代表の簡単なプロフィールも掲載しています。
※本記事は、月刊お正月第51号との同文掲載+追加コンテンツを含んだものです。
言葉の責任の重さを感じた二〇二三年末
皆さま、新年あけましておめでとうございます。二〇二四年も日本正月協会をよろしくお願いいたします。
例年、年末になると、おせち料理の予約カタログが、スーパーや小売店などに設置されます。当協会は活動開始以来、調査活動の一環として、そういったおせち料理のカタログを毎年収集して保管しています。
昨年末のおせちカタログを見ていて驚かされたのは、いくつかのカタログで、おせち料理を重箱に詰めず、小皿に盛り付けた写真を使っていたことでした。特に、国内最大手とも言える小売店のカタログの表紙で、重箱に盛られていないことにビックリしました。
というのも、二〇二二年末に、私が日経新聞様の監修記事にて、「おせち=重箱、というのは最近のことで、元々は小皿に盛っていました」との趣旨の発言をしたからです。そのせいかどうか定かではありませんが、自分の影響力が大きくなり、発言の責任も増大していることを実感しています。
有機・無農薬栽培を応援
二〇二四年は、日本正月協会がこれまで全面的に打ち出してこなかった「有機栽培・無農薬栽培を応援する取組」を強化していきます。
有機栽培や無農薬栽培は、簡単に言うと、科学的な成分になるべく頼らず、自然なカタチを意識した農法です。農薬などは、害虫を殺すだけでなく人体への有害性も懸念されており、私自身は随分前から有機野菜や無農薬野菜中心の食生活をし、有機・無農薬農業を推進しています。
しかし、日本正月協会は、兼ねてより「Let′s和ごはんプロジェクト」に参画するなどし、農水省とつながりを持っていました。二〇二三年には、その関係もあって、私は農水省認定の和食文化継承リーダーに認定されるに至りました。
農水省は、JAとの関係が深い組織です。そしてJAは、農薬や化学肥料を販売して生計を立ててきた団体です。有機栽培や無農薬栽培というのは、農薬などをなるべく使わないようにする栽培方法なので、それを強く推進することは、それで生計を立てているJAにケンカを売るようなものと、私は認識しています。そのため、日本正月協会としてではなく、あくまでも一個人として、有機栽培や無農薬栽培を推していました。
しかし、二〇二三年に風向きが変わりました。「JAが有機栽培に舵を切り始めた」との報道が入ってきたのです。これまで使われてきた農薬や化学肥料は環境負荷が高いものでしたが、SDGsが叫ばれ、消費者からの反発の声が高まり、JAも方針転換を余儀なくされてきているようです。
参考:
JAが有機栽培に舵を切るならば、日本正月協会として障害になるものは何もありません。昨年末頃から有機栽培・無農薬栽培を推進するWebメディアの立ち上げを準備し始めたので、二〇二四年はこれをさらに推し進めていきたいと考えております。特に、有機玄米もちに関わる生産者を応援したいです。
生成AI活用
二〇二二年の十一月頃から話題になり始めたChatGPTを皮切りに、二〇二三年は生成AI黎明年でした。生成AIとは、人工知能が文章などの入力を受け付け、それに応じた内容を、人工知能の学習経験に基づいて生成するものです。二〇二三年は、入力文に応じた画像を出力する「画像生成AI」や、会話するように応答する「チャットボット」が特に賑わいを見せた年でしたが、その火付け役となったのが、質の高さから話題となったChatGPTでした。Webメディアを中心に毎日のように生成AIの話題が報道される中、当協会もAIの活用を開始し、今では月刊お正月の企画出しや、コピーライティング、書類のチェックなどに活用しています。
ただ、本格的に活用していく中で、問題点も明らかになってきました。それは「嘘をつく」ということです。画像生成AIでも、チャットボットでも、生成AIは、情報の足りていない箇所を、これまで学習してきた情報を組み合わせることで補完します。この、補完した部分に、嘘が混じるのです。二〇二三年は、このAIのつく嘘にどう向き合って、対応していくかが一つの課題でした。
解決、というより、回避の手段として、まず一つは、「ウソが混じっても問題ないことにだけ利用する」ということがあります。ウソが混じって問題があることとしては、例えば、「お正月の文化の起源や由来について解説する」といった使用方法です。生成AIは、ありもしない起源や由来を「生成して」答えたりするので、このような使途での使用には難があります。当協会はこのような活用はせず、地道な調査活動に基づいた情報発信を今後もおこなってまいります。
もう一つの解決策は、「AI同士にチェックさせること」です。異なる学習経験を持つ生成AIは、一つの投げかけに対する応答が多様です。これを踏まえて、異なるAI同士で意見を擦り合わせさせることで、「嘘かもしれないこと」をできるだけ「真実」に近づけることができます。
このような使用方法を、現在は、言語翻訳に用いています。というのも、お正月についての知識や学習量は、AIよりもまだまだ日本正月協会の方が優れており、内容の真実性を検証できますが、外国語の学習量についてはAIの方が遥かに多く、我々ではその挙動を監査・監督しきれません。そこで、別のAIに、翻訳にツッコミどころがあるかどうかを問うのです。言語翻訳には、必ずしも「事実かどうかの確認」は求められておらず、AIに任せやすい領域です。
このように、生成AIが話題になり始めて一年が経ち、向き合い方にも一定の方向づけができてきました。二〇二四年は、AIを活用することで、これまで人手不足で対応が遅れていたコンテンツの英語化などをおこない、海外の皆様にも日本のお正月の魅力がお届けできるよう、歩みを進めてまいります。
みんなのプラットフォームへ
昨年は、日本正月協会認定お正月講師制度が始まったり、ミスお正月も華々しく活躍していただきました。本年は、このような協会関係者たちがより一層輝く環境を整備して参りたいと考えます。例えば、ファンクラブやマッチングサイトの設立・運営です。本年もよろしくお願いいたします。
二〇二四年 元旦 今成優太
国産SNSの後日談
昨年の年始挨拶の後日談ではありますが、国産SNSの必要性を訴えていたところ、二〇二三年中に登場した国産SNSの中に、気になる存在が出てきました。「Pop′n」という国産SNSです。私自身には、SNS開発をしている時間は捻出できそうにありませんので、将来性のある国産SNS開発を応援します。
日本正月協会 総理事長 今成優太 プロフィール
群馬県渋川市出身(40)。日本正月協会の創設者。グラフィックデザイナーとしての実務経験など、情報発信にまつわる様々なスキルを活かして、海外や後世に、伝統文化としてのお正月の魅力を伝える。
日本全国47都道府県を車中泊で訪れ、各地のお正月の郷土文化の魅力を発掘・研究、2023年11月に発表した著書「みんなのお正月全集2023」において、「○○正月が1~12月の各月に存在していたことを明らかにした。」と、自らの研究成果を明らかにした。
農水省認定 和食文化継承リーダー、調理師、応用情報技術者。
趣味は星占い。日課は筋トレとジョギング。好きな四文字熟語は「半額以下」。マンガで受賞歴アリ(小〇館「ビ〇グコミ〇クスピリ〇ツ」)。
YouTuber「ミスターお正月」としても活動中。
- 2023年の挨拶(https://www.oshogatsu.org/president-message2023/)
- 2022年の挨拶(https://www.oshogatsu.org/president-message2022/)
- 2021年の挨拶(https://www.oshogatsu.org/president-message2021/)
- 2020年の挨拶(https://www.oshogatsu.org/president-message2019/)
メディア掲載歴
<この記事を書いた日本正月協会とは?>
わたしたち日本正月協会は、正月行事、正月料理、正月遊び、正月飾りなど、お正月の文化を研究し、継承・発展させる団体です。代表者である今成優太を筆頭に、日本全国47都道府県を訪問しながら調査活動をおこなっています。
また、2022年ドバイ万博や、2025年大阪・関西万博など、海外に向け日本の伝統文化としてのお正月の魅力の発信にも注力しています。
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