きなこ雑煮|奈良県のお雑煮|食レポ

奈良県の旅籠(はたご)長谷川さん。
普段は民宿としても営業されているなか、1月~3月の期間に限り、前日までに予約すれば、奈良のお雑煮「きなこ雑煮」を食べさせてくれる。

私がうかがった2月10日、風情あるお店の玄関口には、しめ飾りが飾られていた。のちに聞いた話によると、一年中しめ飾りを飾る三重県の伊勢に、店長がゆかりが深いために、みならってそのようにしているとのことだった。
予約通りの時間に私がうかがうと、すぐにお雑煮を提供してくれた。箸にはお正月に使う箸である「孕み箸」が使われていた。
その他にも、店内には杵と臼が飾られているなど、随所に「日本の伝統的なお正月」を感じられる点が、このお店の一つのポイントだろう。

きなこ雑煮は、白味噌ベースのお雑煮からもちを取り出して、きなこにディップして食べるお雑煮。
ディップして食べる食べ物には、チーズフォンデュやポテトにケチャップをつける食べ方など、さまざまなものがあるが、食事の楽しさを演出する一つの方法として知られている。
では、果たして、雑煮のもちをきなこにディップして、一体どうなるのだろうか?食べる前、私は大いに疑問に感じていた。スープに混ぜればいいのでは?単にきな粉もちとして食べればいいのでは?わざわざ汁からもちをすくい上げる理由がよくわからなかった。

出されたお雑煮のふたをあけると、外はカリカリ、汁につかった部分はとろとろ。さっそく汁からもちを取り出して、ディップして食べてみる。

「おいしい!これだ!」と思った。

「濃い日本のエキスが凝縮された味」だ。
天下一品のラーメンをはじめて食べた時のようなインパクト。
きなこの強い風味と、白味噌の汁、そして気の利いたがダシが組みあわさって、強いパンチのある味に仕上がっている。

白味噌の汁がそもそも濃くて強い主張がある。
そこに、炒りたてなのか、特別に強い風味の芳ばしいきなこが加わる。
激しい主張のある両者がもちと一体となって織り成すコラボレーション。

なぜ、はじめから汁にきなこを加えないのか、よくわかった。汁として、濃くなりすぎるからだ。
この味のインパクトは、汁としてすすり続けるにはふさわしくない。

食べる直前にきなこをつけることで、きなこの風味がまたたく最高の一瞬を、つかみとることができる。
そこが、このお雑煮の、キモなのだ。

味のバランス、ディップする楽しさ。
そして日本の伝統的なおいしいがつまった一皿を、皆様もお召し上がりになってはいかがだろうか?

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