この記事では、広島県に伝わる多彩なお正月行事や風習を紹介しています。厳島神社での初詣や舞楽奉納、地域ごとに特色ある「とんど焼き」、広島名物の「かき雑煮」など、広島ならではの伝統文化を次世代に伝える取り組みについて詳しく解説しています。

広島県にはどのようなお正月行事があるの?
「地域ごとの正月行事の特色や違いは?」「伝統行事はどのように次世代へ継承されているの?」このような疑問にお答えする記事となっています。
このコンテンツは、以下のような方々を対象としています:
- 日本の伝統文化や地域行事に興味のある方
- 広島県のお正月行事について学びたい教育関係者
- 地域の伝統行事を次世代に伝えたいと考えている地域活動者
これらの方々が、広島県の多様なお正月行事やその継承方法について理解を深めることができます。

はじめに:広島のお正月を子どもたちに伝えよう!
日本には47の都道府県があり、それぞれの地域には、その土地ならではのユニークなお正月の過ごし方や、特別な食べ物、飾り付けがあります 3。広島のお正月も例外ではありません。瀬戸内海の豊かな海の幸や、中国山地の山の恵みを活かした、広島ならではの風習がたくさん存在します 4。
地域ごとの違いに焦点を当てることで、日本のお正月の多様性と奥深さを子どもたちに伝えることができます。広島の独自性を強調することは、日本全国のお正月を学ぶという大きな目標にも繋がります。それぞれの地域が持つ独自の文化や歴史が、お正月の過ごし方にどのように反映されているかを知ることは、子どもたちの文化的な視野を広げることにも貢献するでしょう。
広島のお正月イベント:何をして楽しむ?
初詣に行こう!厳島神社のお正月
広島で新年を迎えるにあたり、多くの人々が世界遺産である「厳島神社」へ初詣に訪れます。海に浮かぶ朱色の大きな鳥居は、その美しさで知られ、新年のお祝いにふさわしい荘厳な雰囲気を醸し出しています 5。
厳島神社では、大晦日の夜に火難除けを願う「鎮火祭(ちんかさい)」が、元日には新年を祝う「歳旦祭(さいたんさい)」が執り行われます 5。これらの祭典の後には、「舞楽(ぶがく)」という、平安時代から伝わる雅やかな踊りが奉納されます。特に1月1日の「歳旦祭」後には「振鉾(えんぶ)」が、1月2日には「御松囃神能(おまつばやししんのう)」や「萬歳楽(まんざいらく)」「延喜楽(えんぎらく)」が、1月3日には「太平楽(たいへいらく)」「蘭陵王(らんりょうおう)」など、様々な舞楽が披露されます 6。これらの舞は、お祈りや感謝の気持ちを込めた、非常に特別なものです。
厳島神社でこれほど多くの、そして詳細な伝統行事が執り行われることは、この神社が広島のお正月文化の中心であり、精神的な拠り所であることを示しています。単なる観光地ではなく、古くからの伝統が今も生き生きと息づいている場所であるため、子どもたちに日本の文化を伝える上で非常に価値のある題材となります。
訪れる際には、大鳥居が修理工事中の場合があること 5、また大晦日や元日はフェリーやロープウェーの運行時間が変更されたり、非常に混雑したりすることが予想されるため、事前に確認することが重要です 5。
厳島神社のお正月行事カレンダー(子ども向け)
| 日付 | 行事の名前 | 子ども向け説明 |
| 1月1日 | 御神衣献上式 | 新しいお洋服をあげる日だよ |
| 1月1日 | 歳旦祭 | 新年をお祝いするお祭り!きれいな舞が見られるよ |
| 1月2日 | 二日祭 | 能(のう)や舞楽が見られる日 |
| 1月3日 | 元始祭 | たくさんの舞楽が次々に見られる、にぎやかな日 |
| 1月5日 | 地久祭 | 日の出の舞(ぬきとう)など、縁起の良い舞がたくさん見られる日 |
| 1月14日 | 古札焼却式(とんど) | 古いお守りや飾りを燃やして、新しい年の幸せを願う火祭り |
| 1月20日 | 大元神社百手祭 | 鬼を射る、ちょっとめずらしいお祭り |
火のお祭り「とんど焼き」
広島では、お正月の終わりを告げる伝統的な火祭りとして「とんど」が行われます。この行事では、お正月に飾った門松やしめ縄、古いお守りなどを大きな火で燃やします。燃え上がる炎と煙に乗せて、新しい一年間の無病息災(病気にかからず健康に過ごすこと)や豊作(作物がたくさんとれること)を願います 7。他の地域では「どんど焼き」や「左義長(さぎちょう)」とも呼ばれる、日本全国に広がる風習です 7。
広島の「とんど」は、大きな孟宗竹を使ってクリスマスツリーのような形に組み上げられることが特徴です 8。火がつけられると、猛烈な火柱が上がり、その炎や煙と共に書初めが高く舞い上がると、習字が上手になると言われています 9。また、燃え尽きた火でお餅を焼いて食べると、病気にならないという言い伝えもあります 7。福山市の能登原(のとばら)地区では、高さ10mにもなる「とんど」が田園地帯を練り歩き、最後に6基のとんどをぶつけ合う「暴れとんど」という珍しい風習があり、福山市の無形民俗文化財にも登録されています 7。
かつては旧暦の小正月の夜に行われていた「とんど」ですが、現在は1月14日前後の土日の昼間に行われることが多くなっています 8。このような変化は、現代社会における生活様式の変化や、煙対策、消防署からの要望など、様々な要因に対応しながら伝統を守ろうとする地域の努力を反映しています 8。この行事の目的も、かつて豊作祈願に加え、地域のつながりを深めることや、子どもたちに伝統を体験させることへと広がっています 8。これは、伝統が時代に合わせて柔軟に変化し、その価値を再定義しながら受け継がれている様子を示しています。
「とんど」の維持には、作り手の高齢化や知識の伝承の難しさ、煙や灰に関する苦情、適切な場所の確保といった課題も存在します 8。しかし、地域によってはマニュアルを作成したり、近隣の土地を借りたり、新しい住民に歴史や大変さを説明して参加を促したりするなど、様々な工夫を凝らしてこの大切な伝統を守り続けています 8。これは、地域社会が文化遺産を維持するために示す適応力と回復力をよく表しています。
初日の出を見に行こう!
新しい年の始まりに、太陽が昇るのを見るのは、とても感動的な体験です。広島では、宮島にある「弥山(みせん)」が初日の出を見るのにぴったりの場所として知られています。ロープウェーに乗って山に登ると、瀬戸内海に浮かぶたくさんの島々が360度見渡せる、素晴らしい大パノラマの景色が広がります 5。
元日の早朝には、初日の出に合わせてロープウェーが特別運行しますが、非常に混み合うため、事前に乗車予約が必要な場合もあります 5。お出かけ前には、必ず公式サイトで運行時間や予約の有無を確認しましょう。
子どもと楽しめるお正月スポット
お正月期間も、広島には子どもたちが楽しく遊べる場所がたくさんあります。天候に左右されずに楽しめる室内遊び場は特に人気です。例えば、「VS PARK イオンモール広島府中店」 11、「キッズランドUS MAX 広島ベイサイドフォート店」 12、「リトルプラネット LECT広島店」 12、「スキッズガーデン 広島祇園店」 12、「ニコニコ・ガーデン 広店」 12、「ユウベルキッズランド 広島県福山市」 11など、様々な施設があります。
厳島神社の近くにある「みやじマリン宮島水族館」では、瀬戸内のスナメリをはじめ、約380種類の海の生き物たちに出会え、三が日限定のプレゼントがもらえることもあります 13。また、「イオンモール広島府中店」 11や「ジ・アウトレット広島」 13といった大型ショッピングモールには、子ども向けの遊び場やイベントが充実しており、家族みんなで一日中楽しむことができます。
お正月の過ごし方が、伝統的な行事だけでなく、このようなレジャーやエンターテイメントを含む多様な形へと広がっていることが分かります。これは、現代の家族が、天候に左右されずに快適に過ごせる場所を求める傾向があることを示しており、お正月の過ごし方が時代とともに変化している様子を反映しています。
広島のお正月料理:何がおいしい?
広島名物!「かき雑煮」のひみつ
広島のお正月料理といえば、何と言っても「かき雑煮」が有名です 4。広島は日本で最もカキがたくさんとれる場所であり、全国で水揚げされるカキの約6割を広島県が占めています 14。カキは「福をかき取る」「福をかき寄せる」という、とても縁起の良い意味があるため、お正月に食べるのにぴったりな食材とされています 14。
このお雑煮は、煮干しや昆布、かつお節でとった透き通ったおだしに、丸いお餅と、プリプリのカキ、そしてブリ(お魚)や、大根、にんじん、かぶ、ほうれん草、しいたけなどの野菜を入れて作られます 14。地域や家庭によっては、お味噌味にしたり、アナゴやハマグリ、フグを入れたりすることもあります 4。ブリは、昔から脂が強く日持ちがするため、年末に一尾さばいて刺身にし、残りを雑煮に入れる習慣があったと伝えられています 14。
広島のカキが特に美味しいのは、その生育環境に理由があります。広島湾は、波が静かで潮の流れが適度にあり、さらに中国山地から流れ込む栄養分が豊富であるため、カキが大きく濃厚な味わいに育つのに適しています 14。また、広島県が独自に食品衛生上の条例を設けているため、安全性の高さも人気の理由の一つです 14。このように、地域の豊かな自然が、お正月の食文化に深く結びついていることが分かります。
お正月料理に込められた願い
広島県や島根県の一部の山間部では、お正月料理に「ワニのお刺身」が登場することがあります 16。この「ワニ」というのは、実は「サメ」のことです。サメはアンモニアを多く含むため日持ちがし、昔、海から遠い山間地域でも刺身として食べることができ、貴重なごちそうとして重宝されました 16。このような珍しい食材が、その地域の歴史や地理的条件と結びついて、独特のお正月料理として受け継がれているのは、非常に興味深い点です。
広島のお正月飾り:どんな飾りがある?
家族の願いを込めた「しめ飾り」
広島では、大小3つの輪が重なった「しめ飾り」をよく見かけます 17。この3つの輪は、親、子、孫の三世代を表しており、「家族が代々栄えて、みんなが病気や災難なく元気に過ごせますように」という願いが込められています 17。他にも、願いが叶うとされる「宝珠(ほうじゅ)」の形や、岡山県から鳥取県にかけて見られる「眼鏡(めがね)型」のしめ飾りなど、地域によって様々な形があります 3。
しめ飾りは、清らかな場所を示すための特別な飾りです 18。しめ飾りを飾る日と外す日には、昔からの約束があります。大掃除が終わってから飾り、クリスマスが終わった12月25日以降、遅くとも12月28日頃までに飾るのが良いとされています 18。12月29日は「二重苦」や「苦」に通じるため避けられ、12月31日は「一夜飾り(いちやがざり)」といって急いで飾ることを意味するため、縁起が悪いとされています 18。外すのは、1月7日の「松の内(まつのうち)」を過ぎて七草がゆを食べた後や、1月15日の「小正月(こしょうがつ)」の後が多いです 18。このような詳細なルールは、言葉遊びや伝統的な作法に根ざした、日本文化の奥深さを物語っています。単なる装飾ではなく、悪いものを避けるための、縁起を重んじる深い信仰が込められているのです。
しめ飾りの材料にも、それぞれ願いが込められています。
- 橙(だいだい): 葉っぱがついたまま飾ることで「代々(だいだい)家が栄える」という願いが込められています 18。
- 裏白(うらじろ): シダの一種で、裏も表も白いことから、清らかで潔白な心、そして長生きできるようにという願いが込められています 18。
- ゆずり葉: 新しい葉が出るまで古い葉が落ちないことから、「子孫が途絶えない」という願いが込められています 18。
- 紙垂(しで): 雷を表しています 19。
「門松」と「鏡餅」
お正月には、しめ飾りの他にも、大切な飾りがいくつかあります。
- 門松(かどまつ): 松は、一年中緑を保ち、力強いことから、長寿や生命力を表す縁起の良い植物とされています 1。
- 鏡餅(かがみもち): 鏡餅は、神様の魂が宿る場所とも考えられています 1。お正月が終わって「鏡開き(かがみびらき)」の日に、お供えしていた鏡餅をみんなで食べます 1。
広島のお正月の風習:昔から伝わること
「とんど焼き」でお正月も終わり?
お正月の終わりには、再び「とんど焼き」が登場します。
広島の「とんど」は、自治会(じちかい)などの地域の人々が協力して、何日もかけて大きな竹のやぐらを組み上げます 8。昔は農家の人たちがそれぞれ作っていましたが、今は少子高齢化や都市化といった社会の変化に対応し、地域全体で力を合わせて伝統を守り続けています 8。これは、伝統行事が現代社会の課題に直面しながらも、地域コミュニティの連携と適応によって存続している様子を示しています。作り手の高齢化や知識の伝承の難しさ、煙や灰に関する苦情、適切な場所の確保といった課題がある中で、マニュアル作成や他地域との連携、新しい住民への説明など、様々な工夫が凝らされています 8。このような取り組みは、文化遺産を次世代に継承するための、地域社会の強い意志と創造性を表しています。
初めてのお正月「初正月」のお祝い
赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月を「初正月(はつしょうがつ)」と言います 20。このお祝いは、赤ちゃんの悪いものを追い払い、元気に大きく育つようにという願いを込めて行われます。男の子には「破魔弓(はまゆみ)」、女の子には「羽子板(はごいた)」という飾りを飾る風習があります 20。
この「初正月」の風習は、お正月という一年の始まりのテーマである「更新」や「幸運」を、新しい命という家族の特別な節目と結びつけています。これは、日本の伝統が世代を超えて受け継がれ、家族の繁栄と健康を深く願う文化的な価値観を強く反映していることを示しています。
まとめ:広島のお正月を楽しもう!
広島のお正月は、世界遺産である厳島神社での荘厳な祭典や舞楽、地域で協力して作り上げる迫力満点の「とんど焼き」、そして「福をかき寄せる」牡蠣雑煮など、広島ならではの魅力が満載です。特に、親・子・孫の三世代の繁栄を願う三つの輪のしめ飾りや、山間部で受け継がれる珍しいワニのお刺身など、他の地域とは異なるユニークな風習がたくさんありました。これらの地域ごとの違いを知ることで、日本のお正月の奥深さや面白さがより一層理解できます。
広島のお正月 特殊な読み方をする漢字一覧
| 表記 | 読み方 | 補足 | 参考 |
|---|---|---|---|
| 厳島神社 | いつくしまじんじゃ | 世界遺産として有名な神社です。 | 厳島神社 |
| とんど | とんど | 正月に飾り付けた門松やしめ縄などを燃やす行事です。漢字では「どんど」や「左義長」とも書きます。 | 広島市文化財団 |
| 歳旦祭 | さいたんさい | 厳島神社で行われる、新年を祝うお祭りです。 | 厳島神社 正月期間の年中行事 |
| 御神衣献上式 | ごしんいけんじょうしき | 厳島神社で神様のお召し物を奉納する儀式です。 | じゃらんnet |
Webページ作成にあたり参照した情報源
- 行事・イベント
- 料理・伝統的な食べ物
- 飾り付け
- 風習・民間伝承
更新履歴
- 2025/06/02 読み仮名一覧を追加
- 2025/05/28 初稿公開





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