この記事では、2021年に募集をおこなった「第一回サキガケ年賀状デザインコンテスト」の受賞作品中、特に優秀だった作品構想「海を救うSDGs年賀状」を具体的に実現するためのプロジェクト「サキガケスタートアッププロムナード」について掲載しています。
- 更新履歴
- 【マイクロプラスチック問題解決に向けて】小学生が考えた「海を救うSDGs年賀状」をオトナが本気で実現するプロジェクト「サキガケスタートアッププロムナード」
- このプロジェクトは、小学生の考えた「海を救うSDGs年賀状」のアイディアを実現させ、海のマイクロプラスチック問題を解決し、SDGs14を達成することを目指します。
- 今を生きる大人たちがマイクロプラスチックを処理する必要性「後片付けの大切さを教える大人たちは、後片付けのできないオトナでしょうか?」
- この年賀状が実現されると社会はどう変わる?
- 日本正月協会の活動にご協力ください
更新履歴
- 2023年1月25日 京都大学で意見交換させていただきました。
- 2022年11月29日 プロジェクト統合をお知らせ。
- 2021年09月15日 情報解禁。同日、ロードマップを追加。
- 2021年10月15日 大阪・関西万博の共創チャレンジに「サキガケスタートアッププロムナード」を登録申請しました。結果は11月上旬公開予定です。
- 2021年11月04日 大阪・関西万博の共創チャレンジに「サキガケスタートアッププロムナード」が登録されました。
- 2021年11月04日 原文を掲載。
【マイクロプラスチック問題解決に向けて】小学生が考えた「海を救うSDGs年賀状」をオトナが本気で実現するプロジェクト「サキガケスタートアッププロムナード」

日本正月協会®(本部/群馬県渋川市、代表/今成優太)は、日本各地のお正月の文化を調査・啓発する研究団体です。当協会が主催する「サキガケ年賀状デザインコンテスト」は、付帯する新技術や社会環境をも考慮しながら12年後の未来に使われるであろう年賀状をデザインすることが特徴のデザインコンテストです。本プロジェクト「サキガケスタートアッププロムナード」は、そのコンテストの中で選ばれた、特に優秀で実現性の高いアイディアを具体化させるための取り組みです。
2021年の8月までに募集した本年のコンテストで大賞に選ばれたのは、小学生が考えた「海を救うSDGs年賀状」でした。この作品は「汚れた海のマイクロプラスチックを、ちぎった年賀状に吸着させて浄化させる」という、これまでにない画期的な発想を持っており、もしこれが実現されたとすれば、まさに「海の救世主」と呼ぶにふさわしい優れたアイディアとなることでしょう。
「海とわたし達の明るい未来」年賀状 説明文
私は海の生き物が大好きです。水族館に行くといろいろな海の生き物に出会えて、海の中を自分も泳いだら、すてきなお魚やイルカ、かわいいウミガメなどと友達になれるかなと想像します。
ところが、最近は、プラスチックで海洋汚染が進んでいるということを知りました。プラスチックのごみが集まって大きなかたまりになって、海の上をただよっていたり、海の中で、魚たちのまわりにただようようにみられたりしています。また、細かくくだけたプラスチックは、海の生き物たちが食べ物といっしょに、体内に取りこんでしまっています。海岸に打ち上げられたクジラの胃袋から、大量のプラスチックごみが出てきた話や、ウミガメの鼻の穴にプラスチックのストローがささっていたニュースを見ました。そして、頭が二つあるウミガメの子供の話を聞きました。マイクロプラスチックが体内に取りこまれ、体にえいきょうして、頭が二つあるウミガメが生まれたのかもしれません。魚がマイクロプラスチックを食べたら、私達もその魚を食べて、私達の体にもマイクロプラスチックが取りこまれるかもしれません。
大きなごみは、回収できるかどうか実験が始まっているニュースを見ました。でも、目に見えないマイクロプラスチックは回収が難しいと思います。未来の技術によって、マイクロプラスチックを吸い取ってきれいな砂に変化させるようになればいいなあと思いました。
この年賀状には、ホログラムがうめこまれていて、3Dのイルカちゃんが映し出されます。そして、イルカちゃんが、未来の素材の、マイクロプラスチックを吸いとる年賀状を説明してくれます。年賀状を細かくちぎって海に放つと、マイクロプラスチックは吸い取られて、海のきれいな砂に変わります。
https://www.oshogatsu.org/sakigake2021result/
「これを実現させるために、起業家になってみてはどうか?」と、日本正月協会の代表は大賞受賞者の小学生を誘いましたが、その子には夢があったので、この道(プロムナード)を歩むことはできませんでした。そのため、日本正月協会が、代わりに、このアイディアの実現に向けてできる限り取り組むべく、このプロジェクトを始動させます。
このプロジェクトは、小学生の考えた「海を救うSDGs年賀状」のアイディアを実現させ、海のマイクロプラスチック問題を解決し、SDGs14を達成することを目指します。
海の豊かさを守ることが目標!SDGs14「海の豊かさを守ろう」
2016年~2030年までの15年間で世界が達成すべきゴールを表した17の目標である「SDGs」。最近よく聞かれる言葉ですが、この年賀状の構想は、このSDGsの一つである「海の豊かさを守ろう」の達成を目標として考えられたものです。
マイクロプラスチックってなに?
マイクロプラスチックとは直径5ミリメートル以下の小さなプラスチックのことをいいます。
プラスチックごみは、ポイ捨てやごみ処理施設へ輸送される過程で、風や雨で流され、下水を通って海に流れ着きます。海岸に漂着したプラスチックごみは、波や砂にもまれ、強い紫外線にさらされます。
プラスチックはいつまでたっても自然分解されずに細かな片として残り、海中のごみとなります。
引用元:マイクロプラスチックとは | 環境とお水 – ウォータースタンド(https://waterstand.jp/waterlife/water_environment/waterlife00067.html)
マイクロプラスチックは人体にも悪影響
マイクロプラスチックは海に漂う毒物を吸着させ、それを海洋生物たちが体内に取り組んで蓄積させ、人体にも悪影響を及ぼすと言われています。海の生物たちだけに影響があるのではなく、人体にも有害なのです。
800種以上の海洋生物(海鳥、魚、貝、ウミガメ、クジラ)などがプラスチックを摂食していて、物理的なダメージが報告されています。マイクロプラスチックは生物にとって異物なので、毒性があり、生物組織に炎症が起こります。
また、これまでの研究では、プラスチックが海中から汚染物質を吸着することが注目されていますが、実は離れた地域の汚染でプラスチックの添加剤による影響が顕著です。
プラスチックから添加剤が溶け出すには何万年もかかるという研究もあり、溶け出しにくいならプラスチックを食べても大丈夫なのでは?と思われるかもしれません。しかし、最新の研究では海水には溶け出しにくくても、生物の消化液に含まれる油分に反応して添加剤の溶かし出しを進めてしまい、化学物質が生物の体内に溜まってくることがわかってきました。人間でも同じことが起こるのではないかと想像できます。
「【2021年最新】マイクロプラスチック汚染、海や環境、健康影響についてわかってきたこととは?(https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2021/01/21/49932/)」より抜粋
今を生きる大人たちがマイクロプラスチックを処理する必要性「後片付けの大切さを教える大人たちは、後片付けのできないオトナでしょうか?」

海がマイクロプラスチックで汚れているのはなぜでしょう?それは、発展や便利さを求める過程で人々がプラスチックごみを海にも散らかしてしまったから。プラスチックごみが海を漂ううちに細かく砕かれて、マイクロプラスチックになってしまったのです。
散らかしてしまったプラスチックの残骸を処理するのは、本来、これからの時代を作り上げる小学生たちの宿題ではありません。今を生きる大人たちが解決しなければならない宿題です。コンテストは12年後、2034年の年賀状が課題でしたが、SDGsの達成はそれより早く、2030年を目標としています。小学生が大人になるのを待っている場合ではなく、小学生が大人になる前にこの問題を解決することが、国際社会の目標なのです。
後片付けの大切さを子どもたちに教えなければならないオトナの皆さん。海の後片付けをしないまま、子どもたちに渡してしまっていいのでしょうか?
この年賀状が実現されると社会はどう変わる?
・マイクロプラスチック問題が解決し、海が綺麗に
マイクロプラスチックの処理のために開発されますので、もちろん、マイクロプラスチック問題の解決に貢献し、海をきれいにしていきます。そして、「生物濃縮されたマイクロプラスチックを食べることで人体にも有害」という懸念もなくなり、多くの人の健康にプラスに働きます。
・マイクロプラスチック処理費用の問題をみんなでまかなえる
環境問題の解決を考えるときに問題になるのが「費用負担」の問題です。特に海の問題は、国の領土や領海を超えた全人類的な課題です。「誰が海を汚したのか?」という責任感も当事者意識も持ちづらく、同時にお金も出しづらいものです。
ところが、年賀状というカタチにすることによって、この問題にも取り組みやすくなります。例えば、郵便局で年賀状を購入するとき、普通の年賀状と、この海を救う年賀状のどちらかを購入することができるとします。おそらく、海を救う年賀状の方が、少し割高になるでしょう。海を救いたい人は、こちらの年賀状を購入します。その時点で、海洋処理費用の一部を負担したことになります。このように、年賀状という身近なカタチで取り組みをおこない、処理費用を負担することができることがこの年賀状の素晴らしいところです。
・年賀状に新たな役割が生まれ、売上と文化の継承に貢献
アプリやメールといった電子的なコミュニケーションツールの出現により、年賀状の存在意義は失われつつあります。そこに「海を綺麗にする」という新たな役割が生まれることにより、失われつつある「年賀状」という文化に、新たな息吹を吹き込みます。
日本正月協会の活動にご協力ください
日本正月協会は、お正月の文化を継承・発展させる組織であります。日本正月協会は、お正月の文化の一つである「年賀状」を進歩・発展させるための取り組みとして、この海を救う年賀状の実現に向け、取り組みます。ぜひ、日本正月協会の活動にご協力ください。
メールマガジン登録、会員登録、寄付、掲示板などへの情報提供、SNSでのシェア、アンケートへの協力など、様々なカタチで多くの皆様にご協力いただけるよう、準備しております。
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日本正月協会の取り組みの全体像

日本正月協会は、一案として、この年賀状の実現に向けて以下の取り組みをおこないます。
- 年賀状の素材を研究者・研究機関を募る
- クラウドファンディング等で資金を募る
- 研究成果を実装・製造できる企業を募る
- 流通・販売に向けて取り組む
- 協力者連携の中枢・ハブとして全体進行を取りまとめる
ただし、これらの内容はあくまでも「一案としての決意表明」とお考えいただき、事後的に変更になる場合もあります。たとえば、一社ですべてを実現させられる企業が出現した場合など、日本正月協会の出る幕はないかもしれません。
<取り組み内容詳細>
1,研究者・研究機関を募る
海を救う年賀状の実現のためには、まず、マイクロプラスチックを吸着し、無害化する素材を開発する必要があります。しかし、おそらく、現在このような技術はまだこの世にありません。ですから、まだこの世にないこの素材を生み出すための研究が必要です。日本正月協会は、科学研究機関でないため、このような研究はできません。したがって、この素材を作り出す研究機関を募り、研究を行っていただくようお願いしていきます。
2,クラウドファンディング等で資金を募る
1の研究のためには、資金が必要です。1の研究者や研究機関から参加の表明があり、その研究内容に実現性が見込まれる場合に、資金を募って研究者・研究機関を支援します。
3,研究成果を実装・製造できる企業を募る
1の研究によってマイクロプラスチックを吸着させ無害化する技術ができたとしても、その技術をすぐに製品化できるとは限りません。製品にするためにはさらなる研究が必要です。この製品化に向けて取り組み、製品を製造できる企業を募ります。
4,流通・販売に向けて取り組む
研究開発が進み、製品として製造可能になったら、それを消費者のもとへ届ける努力をしていきます。いきなり、ある日突然、既存の年賀状が、この「海を救う年賀状」に置き換わるということはありません。多くの消費者の方々に、その存在意義と価値、将来への可能性を説明しながら理解を求めることによって、少しずつ世の中に認知され、普及していきます。「次世代のお正月のあり方」を提案・啓発する立場である日本正月協会が最もチカラを入れるのはこの部分です。
5,協力者連携の中枢・ハブとして全体進行を取りまとめる
多くの人が関わることなので、まとめ役が必要です。それも日本正月協会ができる限りお手伝いします。
その他注意事項
<日本正月協会としての立場>
日本正月協会は、お正月の文化を守り立てる組織であります。お正月の文化の一つである「年賀状」を進歩・発展させるための取り組みとしておこなってまいります。日本正月協会は、科学的研究開発をおこなう組織ではないため、専門外のことはおこないません。
<研究成果の特許化について>
研究成果が特許化できる場合には、ライセンスをプロジェクト参加者間で共有することを求めます。細目については参加者間で協議するものとします。
<資金・利益の配分について>
募った資金や、製品を販売した場合の販売液は、プロジェクト参加者間で分配します。
分配の度合いについては、参加者間で協議するものとします。
海を救う年賀状実現までのロードマップ
概ね以下のような道のりを経て、この年賀状が実現されるよう取り組んでいきます。
1,日本正月協会の掲示板を作り、Web上で情報交換します。
このプロジェクトに関心のある方同士で情報交換します。
例えば「○○大学にこんな研究をしている人がいる」「こんな研究成果がすでにある」「こんなふうにしたらいいんじゃないか?」そんな意見や情報を交換します。
2,必要な研究資金がどれくらいか算定します。
この年賀状の素材の研究にどれくらいお金がかかるのか、資金を算定します。
3,資金調達します。
研究に必要な資金をクラウドファンディング等で集めます。
4,研究成果を特許化します。
研究成果はおそらくまだこの世にない発明品なので、特許を取得します。
5,取得した特許や研究成果をもとに、製造できる技術のある企業を探したり、新たな製造設備を構築したりします。
新技術をもとに実際に製品を作るためには、新たな設備やノウハウが必要になると思われます。その製造体制を構築できる企業を探します。
6,販売先を探します。
どのような販売方法ならば消費者の方々にお届けできるか試行錯誤しながら、製品を流通させます。
7,実現
海の浄化が始まります。
サキガケスタートアッププロムナードの名前の由来
サキガケとは「まっさきに事をはじめること」、スタートアップとは「革新的なアイデアや独自性で新たな価値を生み出し、社会にインパクトを与える企業」、プロムナードとは「道」をそれぞれ意味し、「まっさきに事をはじめる創造性の高い企業を生み出すための道」という意味を持ちます。
本当にそんなことができるの?このプロジェクトの意義と注意点「可能性を広げることが存在意義」
このプロジェクトは失敗する可能性があります。このプロジェクトは実現性を100%担保するものではありません。
研究が失敗するかもしれません。この年賀状を世の中に生み出すことはできないかもしれません。
たとえ、マイクロプラスチックを吸着できる素材を開発できたとしても、その使用がかえって環境汚染を深刻化させるために使用ができないかもしれません。
できるかもしれませんし、できないかもしれません。
そう、可能性。全ては可能性です。
このプロジェクトの存在意義は、「できるかもしれない」という「良い可能性を広げること」にあります。
たとえ年賀状というカタチとして実現できなくとも、研究過程で生まれた新たなノウハウが、社会を大きく変革させる可能性もあります。年賀状というカタチにしてしまったら、誰も海に破り捨てないという可能性もあります。しかし、まずはやってみることが大事。なにしろ、SDGsは2030年までに達成することが求められています。地球環境の変化はもう待ったなしです。いい方向に進む可能性のあることは、可能な限り取り組むべきなのです。
たとえ誰かが失敗したとしても、日本正月協会は責任をとりません。プロジェクト参加者の誰しもに、責任をとることを求めません。可能性を広げることこそ、このプロジェクトの存在意義なのです。
サキガケスタートアッププロムナードに対する日本正月協会の動向
何か動きがあった場合に、このページやTwitter、YouTubeなどでお知らせします。
2021年09月05日 | プロジェクト参加検討のためのオープンな連絡・相談窓口として、日本正月協会公式BBS(掲示板)を設置予定です。 |
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